ヒマつぶし情報
2021.01.29
転勤族だけが知る電波の狂った町 〜100円編〜
何がいいんだか全然分かりません
27歳で死ぬんだ!!!!
と本気で信じていた僕も気づけば30歳。
いろいろと健康が気になるお年頃である。
動けば疲れるし、油ものは胃がもたれる。
オールはおろか、夜更かしだって辛くなってきた。
そんな時、僕は「ロックに生きるとは何か」を教えてくれるカリスマと出会ったのだ。
しかもこれは鉄パイプおじさんと出会った日と同日の出来事なのである、、、。
あの日、鉄パイプおじさんと別れて仲良し店長と合流した僕は、キャッチのおねえさんたちを巧みに交わしつつ飲み屋に向かっていた。
ふと道の真ん中を見ると、今度はあぐらをかいて座っている初老の男性がいるのに気づいた。
ただならぬ雰囲気だが、鉄パイプの件もある。近づくべきではないだろう。
特殊電波受信体質の僕はすぐに察知して飲み屋への道を急いだ。
なんでだ全然鳴りやまねぇっ
夜更かしがキツくなってきたとはいえ、やはり気の知れた仲での飲みの席は楽しい。
あっという間に2時間程が過ぎ、店を出る。
元々弱いお酒がさらに弱くなっちゃって~と先輩店長と話しながら歩いていると、
道の真ん中にいた初老の男性が突然声をかけてきた。
よく見ると先ほどのあぐらおじさんではないか。
「お兄しゃん、もうしゅわしゅわ、しゃっしぇんふえましぇんか」
え?なんて?
滑舌が壊滅的に悪いため、聞き取るのは容易ではない。
しかし、どうやら「お兄さん、申し訳ないですが、100円くれませんか?」と言っているようだ。
一方的に認識しているとはいえ、あぐらおじさんとは今この瞬間がファーストコンタクトである。
にも関わらず、ドラクエの村人のごとく当然のように要望を訴えてくるではないか。
何が起きているのか酔いの回った頭で考えるが、事態がよく分からない。
すると、ぼんやりしている僕の横で同じく酔っぱらいの先輩店長が、100円ならいいよ~と硬貨を差し出す。
ニカっと笑うあぐらおじさんの嬉しそうな口元には、可愛らしい歯が互い違いに3本だけ生えていた。
なんなのかは分からないが、喜んでいるし、まあいいか。
田舎育ちの僕には分からないが、都会ではよくあることなのかもしれない。
いきなりお金をせびられたからって、変な人だと決めつけちゃあいけないぞ。
その後、先輩店長とも解散して1人で帰り道を歩き始めると、なんとあぐらおじさんも同じ方向に向かっているではないか。
少し迷ったものの、好奇心に負けて先程の100円についてきいてみた。
遠くで近くですぐ傍で、叫んでいる
僕「その100円、なにに使うんですか?」
あぐら「しょこにしゃっしぇんのローションあいまっしゃりょ(そこに100円のローソンありまっしゃろ?)」
僕「あ~なんか買うんですか?」
(いきなり見ず知らずの人間に頼んで100円をもらうくらいだ。よっぽど必要なものなのだろう、、、。)
再び満面の笑みを見せたあぐらおじさん
「コーラかいやしゅねん!コーラ!でも僕、しょうにょうやかやね。しぇろコーラししゃのめみゃせんにゃ。(コーラ買いますねん!コーラ!でも僕、糖尿やからね。ゼロコーラしか飲めませんのや。)」
、、、、、え?
滑舌の具合もさることながら、耳を疑った。
僕の健康という概念は大きな衝撃を受けて打ち崩された。
あぐらおじさんはコーラが大好きなのだ。
しかし自身の健康のために敢えてゼロコーラを選択しているのだ。
ゼロのコーラは砂糖が入っていないから、、、、。
いや、糖尿やったらコーラ飲んだらダメでしょ!
ゼロコーラって糖分ゼロとちゃいますよ!
というか既にコーラに依存してますやん!
僕はありきたりな台詞をグッと飲み込んだ。
こんな言葉はあぐらおじさんに必要ない。
そう、健康でも人間関係でも信じる気持ちが一番大事なのだ。
嬉しそうに100円を握りしめ、軽い足取りで深夜のローソンに入っていくあぐらおじさんを見送る。
彼のロックンロールは鳴り止まない。
病は気から。
27歳を過ぎた僕は、これからも長生きするしかないと心に誓った。

ピザって10回言って
ピザ,ピザ,ピザ,ピザ,,,
じゃあココは?
pizza小僧